【現役応援】「伝統ある学院柔道部の復活を目指して」29期 北田光男

29期(1978年卒)北田光男

学院柔道部OB  体育局合気道部OB

伝統ある学院柔道部の復活を目指して

 

柔道部護身術教室開催

2025年9月20日、学院武道場で柔道部主催の「護身術教室」が開催されました。学院生に加え、保護者の方々も多数参加され、身を守るための武道の基本的な動きを体験されました。講師は佐藤忠之氏(81年教育学部卒 早稲田大学スポーツ科学学術院およびグローバルエデュケーションセンター講師、警察大学校逮捕術科講師、早稲田大学競技スポーツセンター合気道部師範)でした。

「転んだ時の受け身がどんなものなのか」「相手から攻撃を受ける距離とは」「相手の動きに対処するための視線は」「人間がバランスを崩す方向とは」「手をつかまれたときの対処は」等、体の仕組み、動かし方の説明と実技により、誰でもできる武道の技術を、楽しく感じていただけたと思います。

今回紹介した技術は、投技、固技を中心とする現在の柔道競技の技術と、袖と襟に組み付く前の体制からの当身技、関節技を中心とする「富木合気道」の技術です。「富木合気道」は、学院の前身、予科のご出身である武道(柔道、合気道)家、富木謙治先生(1900年3月15日~1979年12月25日 講道館八段 合気道八段 早稲田大学教授 講道館護身術制定委員)が体育学的に編集した「乱取り(お互いに技をかけあう自由練習)」と「形(約束稽古)」の練習方法の併修が特徴の合気道です。富木先生は、この乱取りを柔道の技術的発展のための「第二の乱取り」として制定することを論文で提案していました。講師の佐藤氏は、天理高校の柔道部出身であり、富木先生に師事し、大澤慶己先生(1926年3月6日~2022年10月21日 講道館十段 早稲田大学名誉教授)のゼミ生でした。

護身術教室の様子

 

学院柔道の原点に戻り新たなスタート

全日本柔道連盟(全柔連)によると、高校・高専の登録団体数は2004年3,102に対し2024年1,552、高校生の個人登録者数は2004年38,432に対し2024年16,339です。今、多くの高校の柔道部が部員不足に悩んでいます。全柔連が2021年に実施したアンケート(回答17,723)によると、柔道を始めたきっかけは「家族の影響」「友人や知り合いの影響」「学校に柔道部があった」が多く、登録団体数、登録者数の推移から、柔道を始める人が増加傾向に転じるのは、とても難しいと思います。また、本来柔道は合理的で身を守る手段であるのに、「勧誘しない理由」として、「怪我のリスクがある」が多く挙げられており、危険なイメージが先行しています。

 

学院柔道部は、戦前からの歴史がある部です。プロ野球日本ハムに入団した山懸秀君が学院出身ということで話題になりましたが、彼は学院からのプロ野球選手としては2人目であり、プロ第1号である森徹先輩(5期)は学院柔道部出身です。その伝統ある学院柔道部では近年「部員ゼロ」の状態が断続的に続いています。今年は1名の新入部員を迎え、練習を再開しました。昨年から、OB有志数名が集まり、学院柔道部長松島先生への提案活動を始めました。現在の柔道競技の技の練習に、富木合気道の技の練習を加え、「実際に身を守るという実戦的で合理的な柔道」を「学院の誰もがいつでも始められる安全で無理のない練習」により学べる場にできたらよいのではという提案です。また、学院のすべての関係者に、柔道の面白さを感じていただけたらという願いから、「護身術教室」の開催を提案し、松島先生のご尽力により学院のご承認を得て開催することができました。今後も継続的に開催することができたらと思います。

学院の武道場に大澤先生の書が掛けてあります。かけがえのない宝物です。多くの学院生が、学院柔道部で、この武道場で、柔道のすばらしさを体験し、「精力善用 自他共栄」を心に留めて成長していくことを願っています。

                          

柔道は学院1年の冬に始めて、下手でしたが、柔道、富木合気道に出会い、良い環境で学べたことは、とても幸運であったと思います。   

最後列左から2人目が筆者