【思い出】 「新制高等学院がスタートしたころ」 2期理事 久保田喜美雄
1951(昭26)卒 2期 久保田喜美雄 H組 機械
【思い出】「新制高等学院がスタートしたころ」
「早稲田高等学院同窓会メールマガジン」の創刊お目出度うございます。
これにより同窓会員の絆が更に深まることを願っております。
学院の思い出として依頼されましたので70年前の記憶を頼りに綴ってみました。
「入学」というようりも「転校」だった!
私ども2期生は昭和24年(1949年)に早稲田高等学院2学年に入学しました。入学というよりも転校の言葉が近いようです。
昭和22年(1947年)に制定された学校教育法と教育基本法に基づく学制改革(所謂6334制)で、早稲田大学も新制大学の発足と共に旧制・高等学院が後期中等教育課程の新制高等学校としての現・高等学院に生まれ変わり昭和24年春1,2,3年全学年の入学試験が一斉に行われました。
3月末に一次試験(学科)、4月上旬に二次試験(面接)、その後合格発表という日程で不合格になったら高校浪人を覚悟での受験でした。
無事合格し4月23日大隈講堂での入学式を終え学院での第一歩が始まりました。。
校名は「早稲田大学附属早稲田高等学院(昭和25年に早稲田大学高等学院に改称)」
校章は「高に稲穂」の旧制高等学院の校章が継承されました。これは新制高等学院創設にあたり旧制学院の校風を継承した表れと思っております。
制服も同じで「蛇腹飾りが付いた顎紐無しの丸い学帽」を着用した時は安堵と早稲田の一員になれたという誇りを感じました。
旧制時代の気風が残る……
新設校舎(戸山町)で1、2年各10クラス、旧第二高等学院校舎(早稲田)で3年12クラスの分散授業が始まりました。先生方は大学と兼務の方が多く生徒の人格を大切にされ大学附属の学院の良さをつくづく感じました。また旧制時代の気風でしょうか学内での生活はかなり自由でのびのびと高校生活を味わうことができました。
入学直後に大学生を交えたメンバーが運動部や同好会への勧誘に訪れ、経験していた軟式野球部に入りましたが大学野球部と同じ東伏見のグランドで大学生並みの厳しい練習について行けず1年間で退部しました。
3学年進級後モータリゼーションに興味をもつ有志で自動車部の設立を図りました。大学の自動車部(体育会)に相談・指導を受け物理担当の三觜秀郎先生に部長をお願いして創部しました。オート三輪車(ダイハツ)、スクーター(ラビット)を教材に車両構造・運転操作などを追及する目的でした。
私が落伍した軟式野球部は現在全国大会にも屡々出場する強豪校ですが、自動車部は何時しか消滅してしまったのは皮肉な現状です。自動車の危険性、運転免許証取得年齢の関係などの問題があったかと想像していますが学院自動車部の去就をご存じの方がおりましたら是非お話しを伺いたいと思います。私は学院卒業後大学自動車部に入り縁あって今も現役の指導に関わっています。ライバル慶應義塾には高校(日吉)にも自動車部があり大学の自動車部とともに活動し競技会などで大学生に並ぶ優秀な成績を修めています。
再会した「学院二六会」の仲間たち
2期生の学院生活は昭和26年(1951年)3月までの2年間で終わり、志望の学部に進学し学術を修め社会人へと巣立ちました。東京都知事を経験された青島幸男氏(2期 B組 商)、本学理工学部長に就かれた宇佐見昭次氏(2期 I組 応化)をはじめ政界、学界、経済界などでご活躍された方が多数おられます。
学院卒業後の集い所謂クラス会ですが、3学年進級時に大学への進路に合わせて文系・理工系に分けるクラス替えがあるので卒業前一年間の付き合いでは馴染みが薄く学年全体での集まりを要望する声が多くありました。
このような気風に応え高等学院2期同期会として「学院二六会」が誕生し、昭和36年(1961年)大隈会館で盛大な発会の宴を催し以後隔年を目途に開催してきました。
この「学院二六会」は、会員が75歳を超えた平成20年(2008年)を最後として閉じました。しかし平成23年4月(2011年)に久し振りに早稲田の地で開催された学院の「ホームカミング」に卒業60年目として招待を受け再び皆で語り合う機会を得ました。
この会合で誰言うでもなく「学院二六会」再開の雰囲気となり当初からの代表世話人島田一志氏(2期 D組 商) 、中濱 久氏(2期 A組 経済)、をはじめ各クラス(A~I組)の世話人のご尽力で復活の運びとなり隔年に開催しています。
ホームカミングの集いが同期会の復活に結びついたこと、学院に感謝しております。
学院を卒業して68年になります。僅か2年間でしたが青春時代を過ごした学院生活、その間に得た経験と良き友人など深い思い出を秘め高齢の2期生は「学院二六会」を楽しみに頑張っています。
終わりに高等学院および同窓会の更なるご発展を心よりお祈りいたします。