【学部生の活躍】「学院から世界へ」の体現を目指して 74期 近藤大介

2023年(令和5)卒 74期 近藤大介 C組 先進理工学部

「学院から世界へ」の体現を目指して 

この度同窓会メールマガジンに寄稿する機会をいただきました、74期卒の近藤大介と申します。現在は早稲田大学先進理工学部生命医科学科に在籍しています。今回は、私が所属する理工学術院公認サークル「iGEM – Waseda」で取り組んでいる活動についてご紹介いたします。この活動は学院での経験をもとに始めましたが、現在では地球規模での課題に世界規模で取り組んでいると自負しています。

 

 

 

学院で知った世界への挑戦

早大生を中心に、専門も学年も異なる学生が集まり、環境や医療などの社会課題に、自分たちで考えた研究で挑むiGEM – Wasedaは、研究室への配属前の学部生がプロジェクトの中心を担い、世界各国の大学が参加する国際大会での入賞を目指すチームです。

iGEM – Wasedaとの出会いは、私が高校2年生だった2021年に遡ります。当時、iGEM – Wasedaに所属する大学生が、Zoomを使って学院生向けの説明会を開き、合成生物学の国際大会「iGEM」について紹介してくれました。当時の私には詳しい活動内容を十分に理解することは難しかったものの、iGEMの特徴である「学部生が自分たちで研究テーマを考え、その成果を世界の名だたる大学のチームと競い合う」という点に強く惹かれたことを覚えています。

当時は新型コロナウイルス感染症の流行のさなかにあり、食堂の休止や部活動の制限、海外留学の中止など、学院生活にも多くの制約がありました。特に私は吹奏楽部に所属していたため三密回避の影響を大きく受け、通常通りの活動ができない期間が長く続いていました。このように、入学前に思い描いていたような学院生活を送ることができない一方で、「何か大きなことを成し遂げたい!」という漠然とした思いを抱えていた私にとって、国際的な舞台への挑戦は非常に魅力的に映りました。私は説明会の最中にすぐさま公式Twitter(現X)とInstagramをフォローし、その後もSNSを通じて研究の進捗や大会の様子を追い続けました。

そして早稲田大学への進学後もその熱が冷めることはなく、私は実際にiGEM – Wasedaへ加入することとなります。学院時代には画面越しに活動を追っていた私が、大学ではそのチームの一員として、国際大会での入賞を目指して研究に取り組む側になったのです。

 

学生が中心となって進める研究活動

 説明が遅れてしまいましたが、iGEM (The International Genetically Engineered Machine competition)とは、学生が「合成生物学」を用いて社会課題の解決策を考え、研究活動を行い、その成果を世界各国のチームと競う国際大会の名称です。iGEM – Wasedaは、この大会での入賞を目指して活動する早稲田大学の学生チームになります。合成生物学とは、生物が持つ様々な働きを組み合わせ、新しい機能や仕組みをつくる学問です。少し難しく聞こえるかもしれませんが、生物の力を利用して、環境や医療などの問題を解決しようとする研究分野といえます。

 実際に参加してまず驚いたのは、iGEMが単に実験結果だけを競う大会ではないことでした。チームは自分たちで取り組む社会課題を選び、実験やコンピューター解析を行うだけでなく、企業や専門家へのインタビュー、安全性や社会への影響の検討、Webサイトや動画の制作、英語での発表に至るまで全てを行います。学部生が中心となり、一つの研究プロジェクトを構想・立案するところから世界へ発信するところまで、一貫して取り組むことがiGEMの大きな特徴です。

 iGEM – Wasedaにも、私のように生命科学を学ぶ学生だけでなく、情報や物理、化学、社会科学など、異なる分野を専門とする学生が集まっています。分野の異なる仲間と意見を交わしながら、一人では実現できない研究を形にしていくことも、この活動の魅力です。

 

世界で評価された2024年の挑戦

 2024年のiGEM – Wasedaは、社会課題としてプラスチックごみ問題に注目しました。微生物が作るプラスチック分解酵素の力を利用し、そのシステムを改良することで、より効率的で安全なプラスチックリサイクルを目指した研究に取り組みました。その中で私は、研究成果と社会を繋げる「Integrated Human Practices (IHP)」という部門のリーダーを務めました。企業や専門家へのインタビューを通じて、注目した社会課題が具体的にどのような問題を持つのかを調査し、得られた意見を研究計画に反映させていく役割です。実験室の中で考えた技術が、そのまま社会に役立つとは限りません。研究する側の視点だけでは気が付けない問題を知り、研究と実社会を結び付けていくことの重要性を、この活動を通じて学べたように思います。 そして2024年10月、私たちはフランス・パリで開催された国際大会iGEMに出場しました。約200チームが参加した学部生部門において、環境浄化(Bioremediation)部門と複合遺伝子部品(New Composite Part)部門の二部門で最優秀賞を獲得し、日本チームとして初めて総合Top10に選出されました。学院時代にSNSを通じて見ていた国際大会の舞台に自分が立ち、仲間と進めてきた研究が世界から評価されたことは、非常に大きな喜びでした。一方で、総合世界一には届かず、次はさらに高い目標に挑みたいという思いが芽生えた瞬間でもあります。

受賞時の歓喜

受賞したトロフィー(エッフェル塔をバックに)

Top10の先へ – 薬剤耐性菌への挑戦

 今年度、私はiGEM – Wasedaの一員として、「薬剤耐性菌」の問題に取り組んでいます。薬剤耐性菌とは、これまで治療に使われてきた抗菌薬が効かなくなった細菌のことを指します。細菌が新たな耐性を獲得する速度に対して、新しい抗菌薬の開発が追い付いていないことが、世界的な課題となっています。この問題に対して、私たちは新しい抗菌薬を作るのではなく、細菌が持つ耐性の原因そのものを取り除く方法を考えました。耐性の原因となるタンパク質を細菌の内部で分解し、既存の抗菌薬が再び効く状態へ戻すことを目指して研究を続けています。今年度は学部4年生になり、所属する研究室での研究も本格的に始まりました。そのため、そこで培った知識や考え方をiGEM – Wasedaの活動にも生かし、実験結果の考察や関連文献の調査、プロジェクト全体のストーリー検討などに携わっています。

また、研究だけでなく、チームの活動を支える資金調達にも取り組んでいます。みなさんにご理解いただきたいのは、この資金調達活動がないと今後の活動に大きな支障が出てしまうことです。

 iGEM – Wasedaでは、研究に必要な試薬や機器、大会への出場登録費なども、全て学生が中心となって用意しなければなりません。個人からの支援や企業との協賛など、多くの方からご支援をいただいていますが、必要な費用の全てを賄うことは難しいのが現状です。そこで現在、今年度の研究と国際大会への出場に必要な資金を募るクラウドファンディングを実施しています。

資金調達イベントにて

みなさんにお願いがあります。

お金のことゆえ遠慮しつつも現在の活動の死活問題です。クラウドファンディングへのご支援をいただけないでしょうか。いただいたご支援は、実験に必要な試薬・機器や大会登録費などに活用いたします。ぜひ以下のサイトからご協力いただきたく思います。また、ご支援だけでなく、周囲の方に活動を紹介いただけないでしょうか。これは、私たちにとって大きな力になります。

クラウドファンディング (CAMPFIRE)「合成生物学の国際大会iGEMで薬剤耐性問題に挑む!」

 2024年には届かなかった世界一を目指すとともに、薬剤耐性菌問題に対する新たな解決の可能性を示せるよう、残された期間もチーム一丸となって研究を進めてまいります。大会後、学院同窓生の皆様に胸を張って成果をご報告できるよう、最後まで力を尽くす所存です。

よろしくお願いいたします。

 

関連リンク

早稲田大学高等学院「iGEM – Wasedaチームがパリ国際大会で活躍」

iGEM – Waseda公式Webサイト

iGEM – Waseda公式X

iGEM – Waseda公式Instagram

早稲田大学「合成生物学で取り組む環境問題」

2024年度iGEM – Waseda研究報告ページ (Wiki)