【学部生の活躍】「音で刻んだ三年間―学院夜会とその先へ」 76期 野原章史

2025年(令和7)卒 76期 野原章史 I組 文化構想学部

 

「音で刻んだ三年間―学院夜会とその先へ」

 

「学院夜会」とは

学院には「学院夜会」(高等学院生徒による音楽リサイタル 2015年3月第1回開催)という演奏会があるのをご存知でしょうか。

高等学院の音楽文化クオリティを証明するステージであると同時に、高等学院全体のクリエイティブなチャレンジを象徴するステージでもあります。

演奏形態は、ピアノ独奏を中心として、ヴァイオリン、独唱、合唱、フルート、サクソフォン、オーボエ、クラリネット合奏等バリエーションに及びます。レパートリーはクラシックの古今東西を幅広くカバー、ポピュラー音楽や自作曲が登場することもある本格的な演奏会です。学院生だけでなく、学院OBや先生方も出演されます。名称の通り、夕暮れの時間帯にゆったりと開演されるのも特徴です。

私が学院へ進学を希望した理由の一つが「学院夜会」への出演でした。入学後「学院夜会」には3年間で計13回(第17回2022年8月~第29回2025年5月)出演し、演奏曲数は54曲に及びます。ピアノ演奏では、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ショパン、ブラームス、バラキレフ、チャイコフスキー、ドヴォルザーク、ドビュッシー、クライスラー他だけではなくアンサンブルも数多く披露させて頂いたので毎回、準備が大変でしたが、演奏後は、充実感に満たされました。スタッフ作業にも仲間と共に尽力し回を重ねるごとに評判を呼び観客数が増えたことが印象に残っています。

「学院夜会」では音楽を通して心のやすらぎや楽しさをお届けする様に努めてきました。「学院夜会」宣伝の為、近隣住戸への演奏会チラシ配布時には、沢山の温かい言葉を掛けて頂いたことが、夜会出演への大きな励みとなり、モチベーションの向上に繋がりました。これらの対外的な演奏活動を通じて、自身を高めることが、ひいては人に希望を与えてコミュニティへの奉仕につながる感覚を得るようになりました。

「学院夜会」エピソード

室内合奏団部長 榎本隆之先生(34期)からは室内楽の演奏スタイルを、ソプラノ歌手の菅純子先生(音楽科)からはオペラ用ピアノ伴奏法を細かく教えて頂きました。この学びは、三年次の自由選択(音楽)授業で発表したモーツァルトのオペラ『ドン・ジョヴァンニ』ピアノ伴奏に大きく役立ちました。浅香満先生(音楽科)編曲カッチーニ『アヴェマリア』を、お二人の先生とのアンサンブル(歌、ヴァイオリン、ピアノ)で披露しました。浅香満先生の編曲は、各パート交互にメロディーラインが現れ、ピアノ伴奏の内声部にまでメロディーラインが存在する箇所もあったことを今でも強く覚えています。

室内合奏団同期の三ツ橋和音君、齊藤佑季君とは、3人6手ピアノ連弾でモーツァルト『トルコ行進曲』を私が編曲し次々とパートが入れ替わる瞬間移動演奏を披露したところ大いに受け“ブラボー”を頂けたことが良い思い出です。3年間、室内合奏団で苦楽を共にした3人だからこそ出来たチームワーク演奏でした。

(学院夜会vol.28 モーツァルト トルコ行進曲)

独唱では、グリークラブ中沢匠君(76期)との『赤とんぼ』『待ちぼうけ』そして『松島音頭』(曲:山田耕作 詞:北原白秋)共演が印象に残っています。『松島音頭』の独特な日本民謡のリズム、ピアノ伴奏で太鼓や鐘の賑やかな祭囃子を表現するのに地元の祭りで奏でられる郷土芸能を参考に研究しました。本番では、中沢君の滑稽な所作とノリノリの歌唱とで楽しい作品に仕上がり好評を得ました。

(学院夜会vol.28 山田耕筰 「赤とんぼ」「待ちぼうけ」「松島音頭」)

吹奏楽部 山地海翔君(76期)からの依頼曲、イベール『アルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲』は、11楽器分の音色作りとリズム、出だし演奏が非常に難しい曲でした。クラシックを主に勉強してきたので、ジャズのリズム取りに苦戦しました。しかし合わせ練習を重ねる毎に、お互いの掛け合いが楽しくなりしっかりと仕上げることが出来た作品です。演奏直後に起きた大拍手に苦労も吹き飛びました。山地君から伴奏のお礼にと高級ハンバーガーを御馳走してもらったことも嬉しい思い出です。有難う!

(学院夜会vol.27 ジャック・イベール アルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲)

私が初めて出演した「学院夜会」(2022年8月第17回)は、コロナ明けでホールの扉を全開で演奏するスタイルでした。ホール内に響く蝉の鳴き声と共に奏でた記念日となりました。【学院夜会vol.17 №6 Johann Sebastian Bach French Suite 2 BWV813 Allemande】

フルート奏者である阿部麻耶先生(音楽科)と第26回で共演したフルート コンチェルトでは、演奏の最中にスイッチの切り忘れからホール中に校内放送が流れてしまうというハプニングが起きました。音楽に全神経を集中し何事もない様にお互い弾ききりました。

(学院夜会vol.26 C.Ph.E.Bach Flute Concerto in d I mov.)

ショパン『英雄』を卒業時、今までの感謝の気持ちを込めて演奏させて頂きました。

(学院夜会vol.28 ショパン ポロネーズ 第6番 「英雄」 変イ長調 Op. 53)

武沢護先生(前学院長)のご案内により名門音楽校 桐朋女子中・高等学校 今野淳一校長先生(33期)が「学院夜会」を聴きにお越し下さり奨励を頂けたことは大変励みになりました。有難うございました。

 

「国際交流演奏会」

2024年6月「ラバチェフスキー第一リツェイ(モスクワ国立大学ウスチ・ラビンスク支部)」代表団が来校時は、ロシアの作曲家チャイコフスキー『舟歌』を室内合奏団で、ロシア近代音楽の父グリンカ=バラキレフ『ひばり』をピアノソロで披露したところ大変喜んで下さり熱心に聴いて頂けました。演奏後に大きな拍手と感謝のメッセージを頂けたことで、ロシアの高校生と音楽を通じて国際交流を図ることが出来た貴重な機会でした。

2024年5月台湾「國立政治大學附屬高級中學」訪問団が来校時は、モーツァルト『きらきら星変奏曲』を訪問団 高校生の独唱と私のピアノ伴奏とで即興によるコラボ演奏を行いました。大変な盛り上がりとなり楽しいひと時を過ごして頂けました。台湾の高校生とも音楽を通じて国際交流を図ることが出来た貴重な経験でした。

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「室内合奏団」と「グリークラブ」

部活動では、室内合奏団に3年間所属し主将を務めました。学院祭、学芸発表会、定期演奏会、国際交流演奏会、ボランティア活動、新入生歓迎演奏会、学院夜会において、部員と心を合わせ様々なジャンルの音楽を丁寧に作り上げ発表をしました。

グリークラブとは、夏冬に合同音楽合宿を行い、最終日前夜には互いの成果を披露し多くの刺激を受け合いました。この様な縁から「学院夜会」での独唱ピアノ伴奏や東京都高等学校文化祭音楽部門第3地区大会に出場(2024年10月)では、『愛の天文学』(詞:寺山修司 曲:土田豊貴)のピアノ伴奏を担当しました。

グリー草場一輝主将(77期)から地区大会用の急な伴奏依頼があった時は、あまり深く考えずに引き受けてしまいましたが、楽譜が送られてきた時の絶望…難曲すぎる、、、間の取り方やテンポ感を理解し演奏するのがともかく難しく地区大会まで時間もなかったのでひたすら練習しました。。。生涯の合唱伴奏曲の中でも断トツ1位の難解曲です!

本番ではグリーの圧倒的な歌声、草場主将の迫力ある指揮(伴奏しやすい)に心を込めて演奏しました。会場中がどよめく程の素晴らしい作品となり大会後の講評でグリーが称賛を頂けたことは、この難曲の練習に係わる苦労が報われた瞬間でした。

(室内合奏団)

(グリークラブ)          

「早大ピアノの会」

早稲田大学では「早大ピアノの会」(大学公認サークル)に所属し新人演奏会、八月定期演奏会、学祭、Xmasコンサート、三月定期演奏会、村上春樹記念館演奏会、老人ホームボランティア演奏活動等、様々な場面での演奏と幹事として企画運営を行っています。

早理コンサート(理科大)、早立コンサート(立教)、早慶コンサート(慶應)、早東コンサート(東大)、早上コンサート(上智)、早明コンサート(明治)にも出演し、六大学ピアノ連盟新人演奏会では、早大ピアノの会47代の新入生代表に選出され演奏させて頂きました。(https://www.youtube.com/watch?v=lt9a_7Zctf8&list=RDlt9a_7Zctf8&start_radio=1)

全国大学生ピアノ選手権には「早大ピアノの会」(3人1組)で出演し2026年3月の決勝大会では準グランプリを頂くことが出来ました。(写真中央・本人)

「終わりに」

昨年(2025年4月)同窓会総会ホームカミングデーでは、室内合奏団OB山口真一氏(33期)、柏木英一氏(34期)、柳勝己氏(34期)、濱野浩昭氏(35期)と現役生のアンサンブルで中島みゆき『糸』の伴奏を、続いて大学応援部 山口和真先輩(74期)のリードによる『早稲田大学校歌』斉唱にピアノ伴奏(浅香満先生編曲)として参加させて頂きました。山口先輩の迫力ある大声量と弦の音色、会場中の歌声に心が震えました。今年も昨年に引き続き出演させて頂くこととなり大変嬉しく思います。

私は、これまで高難度の国際国内ピアノコンクールに挑戦してきました。79回の開催実績がある国内で最も伝統があり最難関の全日本学生ピアノコンクール、参加者4万人が集う国内最大規模のピティナピアノコンクール、世界16ヶ国の参加者と競った国際バーゼルピアノコンクールなど数多くのコンクールで優勝・入賞を果たしてきました。

海外留学などで、ハンガリー国立リスト音楽院のレイティ教授、ポーランド国立ショパン大学のヨアンナ教授(音楽科・浅香満先生よりご推薦)、ドイツ・ニュルンベルク音楽大学のフィリポィウ博士からご指導を頂き自身の演奏に磨きをかけてきました。

今後も、自分の特技であるピアノ演奏を他人のために活かす途を模索していきたいと考えています。早稲田大学でも学業と両立し、芸術を世の中でどう生かしていくかを研究分析し、社会貢献に積極的に取り組みたいとも考えています。

 

「学院夜会」は第30回2026年3月より「学院奏会」と名称を変更しました。引き続き、音楽を愛する学院生達へのエールをよろしくお願い致します。

 

学院奏会(旧学院夜会) – YouTube

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