【学院トピック】 「将来のノーベル賞 ! 科学の天才あらわる」 報告 30期 中島康
1979(昭54)卒 30期 中島康 I組 応物(現 高等学院生物科教諭)
「将来のノーベル賞 ! 科学の天才あらわる」報告
並木健悟君の素晴らしい成果
今春学院を卒業した並木健悟君(70期 L組 教育)は、学院在学中、理科部生物反に所属して科学研究に取り組み、数々の成果を上げました。
きっかけはカマキリの行動を支配する寄生虫ハリガネムシの研究です。飼育していたカマキリに餌を与えるため、並木君はクロクサアリとヒトスジシマカを捕まえ、同じ容器に保管していました。ところがある時、ヒトスジシマカだけが死ぬことに気づきました。
それを見た並木君は「蚊はウィルスを媒介する危険な生物だが、蚊の駆除にクロクサアリは役立つかもしれない」と考え、『クロクサアリがヒトスジシマカに与える致死的影響』について2年生の6月頃から徹底的に研究し始めました。その結果、クロクサアリの分泌物がヒトスジシマカに致死的な影響を与えることを確認し、「学生科学賞東京都大会優秀賞」を受賞しました。
さらに研究を続け、クロクサアリの分泌ガス中のシトロネラールとギ酸が相乗的に作用して、ヒトスジシマカが死亡することを明らかにしました。その結果、日本タイ学生科学フェア(英語発表)2018でシリ―トーン王女御前ポスター発表会(30件)に選出、SKYSEF2018国際科学フェア(英語発表)第3分科会第1位、東京薬科大学生命科学部25周年記念シンポジウム高校生発表会大隅賞受賞、第9回藤原ナチュラルヒストリー振興財団高校生研究発表会最優秀賞(第1位)受賞、サイエンス・キャッスル関東大会(2018)口頭発表最優秀賞(第1位)受賞、学芸大学主催SSH/SGH課題研究発表会2018SSH部門口頭発表最優秀賞(第1位)受賞等、多くの発表会で表彰されました。
科学研究で活躍する学院生たち
2018年度は、並木君だけでなく、多くの生徒が科学の研究発表で活躍しました。例えば、同じく今春卒業の髙木大輝君(70期 J組 教育)は、ミミズによる土壌改良の研究で日本土壌肥料学会優秀賞を、松嶋慎太郎君(70期 E組 経済)は鯉・鮒水田の生物多様性の研究でサイエンス・キャッスル関東大会ポスター優秀発表賞を、そして、月本将太郎君(新3年生)は発光バクテリアの研究でサイエンス・キャッスル関東大会口頭発表優秀賞を受賞しました。本年度だけでなく、このような研究は10年ほど前から活発に行われています。
ここ数年の研究に限っても、『フトミミズが粘土質土壌の物理・化学的性質に与える影響(SKYSEF2016第5分科会第1位・英語発表、SKYSEF2015審査委員奨励賞・英語発表』、『我が家のペットの遺伝子検査(サイエンス・キャッスル関東大会口頭発表優秀2017』、『プラナリアがもつ「生育環境変化への適応能力」(京都学園大学バイオ環境優秀賞2017、タイ国TJSSF2018発表)』、『紙を折って方程式が解ける!?(JSEC2016優等賞、タイ国TJSSF2015発表、SSH生徒研究発表会生投票賞2016)』、『高齢者向けイヤホンの開発(WISES2014第1分科会_リサーチプレゼンテーション第1位)』など多数の研究が表彰されています。
このような生徒の研究発表は、昨年度まで12年間続いたSSH(スーパーサイエンスハイスクール)事業によってサポートされてきました。例えば、首都圏オープン生徒研究発表会(TSEF)という科学の発表会(言語は英語または日本語)を主催し、近隣の十数校の中高生よる発表会を行ったり、海外での研究発表会(タイ・台湾など)に参加することによって、生徒のプレゼンテーションの力を高めてきた結果が、上記の受賞につながっています。
引き続き同窓会のご支援を!
2017年度で高等学院のSSH指定は終了しましたが、TSEFについては正式に学院の主催となり、生物科教員の寄付と理科部生物班の個人負担部費によって運営費を賄い、2018年度も実施することができました(2019年3月10日、早稲田キャンパス8号館)。実際のところ、本年度TSEFは有賀隆理工学術院長補佐他理工3学部の教務主任を来賓として迎え、近隣18校(300人)が参加する大規模な発表会となりました。海外での発表については、原則的には参加生徒の個人負担で行っていますが、同窓会研究奨励金からも旅費の一部を補助して頂いています。このような形で、SSH指定後も、高等学院として、学院生の科学研究をサポートしていく所存です。同窓会の皆様には引きつづき暖かいご支援を賜れば幸いです。
(参考リンク)高等学院HP「ニュース」より
東京学芸大学主催SSH/SGH課題研究発表会で並木君・矢部君がSSH部門で口頭発表最優秀賞・ポスター発表優秀賞をW受賞しました
◆並木君が「大隅賞」を受賞-ノーベル賞の大隅教授を前に、研究成果を発表しました
◆藤原ナチュラルヒストリー財団高校生研究発表会で、並木君が最優秀賞を受賞しました
◆21世紀の中高生による国際科学技術フォーラム(SKYSEF2018)の口頭発表で、並木君・須永君が第1位を獲得
(関連リンク)高校生新聞OnLine「アリが蚊を殺せるのはなぜ?」