【OBの活躍】「高等学院から海外名門大へ進学」69期理事 能登亮佑 (ロンドン大学/UCL)
2018(平30)卒 69期理事 能登亮佑 D組 政治(中退)
「高等学院から海外名門大へ進学」
メールマガジンの配信に際しまして、佐藤真一理事(35期)から寄稿の機会をいただきました、69期卒業生で同窓会理事の能登亮佑と申します。このたびは、さまざまな分野でご活躍される先輩方を差し置き大変恐縮ですが、一文を寄せさせていただきます。
私は、2012年に高等学院中学部に3期生として入学し、およそ8年間を早稲田で過ごしましたが、昨年9月に早稲田大学政治経済学部を中退し、現在はイギリスのユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の学部課程に在学しております。
海外大進学の原点となった学院生活
高等学院中学部の受験は父が勧めてくれました。学校説明会で生徒会(中央幹事会)の役員が自らプレゼンをする姿に感銘を受けたそうです。そんな縁から、中学校生活は専ら生徒会活動に捧げ、中央幹事長も務めていました。当時、中学は開校
して間もなく、解決すべき問題で溢れていました。そんな中で、中学生の青臭いチャレンジ精神を大切にしてくれたのが学院の先生方で、特に「好きなようにやっていい、その代わり全力でやれ」と背中を押してくれた教務の先生の言葉はとても印象的でした。
このとき、問題を発見し自分たちで解決する楽しさと難しさを学び、この関心は徐々に社会問題へと向いていきました。
高等学院に進学すると、前年にあった消費増税を取り巻く社会問題について、ニュース番組で解説をしていたファイナンシャルプランナー(FP)に魅力を感じ、CFPというFPの国際ライセンスの勉強をはじめました。この資格を高校生が受験するのは前例がなく、主将を務めていたワンダーフォーゲル部の練習後に急いで専門学校のある八重洲へ向かい、22時ごろまで社会人の方々と勉強し、最終バスで帰宅する生活を2年間続けました。かなり無茶な挑戦でしたが、学院独特の「人と違ったことをする」ことに対する寛容さに支えられ、同試験に最年少合格することができました。合格を報告した時に自分のことのように喜んでくれた本杉秀穂学院長(当時)の顔は今でも忘れられません。我が道を進む仲間達、そして生徒想いの先生方から刺激を受け、やりたいことを探求できた学院生活は、私のかけがえのない財産になりました。
早稲田大学・プレスリリース(2017年8月10日付)
https://www.waseda.jp/school/shs/news/2017/08/10/2036/
政治経済学部からイギリスの名門大へ転学
学院を卒業して政治経済学部に進学しましたが、この頃から、欧米の名門校で世界の優秀な学生と切磋琢磨して自分の力を試したいという気持ちが強くなりました。早稲田大学を退学することにとても躊躇しましたが、学院時代の組主任の先生に相談すると、「君らしいチャレンジだから応援したい」という力強い言葉をもらい、決意を固めることができました。高等学院には、推薦状や成績証明書の手配など、さまざまな協力をしていただき、出願にこぎつけることができました。
イギリスの大学は3年制で、日本の大学の3・4年次に相当するため、日本の高校出身者は、現地の大学準備コースか日本の大学の教養課程を修了すると受験資格を得られます。そこで、早稲田大学の2年次を修了した段階でイギリスの大学を受験し、UCLに合格しました。
UCLは、哲学者のジェレミ・ベンサムが提唱した「全ての人に開かれた大学」を目指して創設された総合大学で、人種や宗教による入学制限がなかったことから、伊藤博文や夏目漱石など、明治を代表する偉人もこの大学で学びました。自由闊達な校風や学生文化は早稲田のそれに非常によく似ていると感じています。
UCLでの大学生活
UCLでは、社会科学を専攻しています。このプログラムでは、社会問題の実証研究を通じて、理論を検証・構築し、問題解決へ向けた分析をするプロセスを学びます。授業は、政治・データサイエンス・社会・心理の4分野から1つずつ設定されています。各科目、毎週の講義と隔週のゼミがそれぞれ1時間あり、加えて毎週数百ページの文献購読とエッセイが課されます。
また、寮生活も非常に刺激的です。現在は、コノートホール(Connaught Hall)という、今年で開寮102年の歴史ある学生寮で生活しています。寮生は英連邦諸国やEU圏を中心に世界中から集まり、夕食時には、自分たちの研究分野や卒業後のキャリアについて話し合ったり、世界の政治・経済問題を討論したりしています。大学でも寮でも独創的なアイデアが求められる環境で、学院で学んだ「人と違うことを是とする感覚」は非常に活きていると感じます。早稲田大学はとても素晴らしい大学ですが、学院で得られる経験や学びを活かして、私のように学部から海外大に挑戦する後輩が出てきてくれると嬉しいです。