【思い出】「雑感……雀・百まで』 19期理事 椎名一郎 (第11代理事長) 

1968(昭43)卒 19期 椎名一郎 I組 経済
(2010年~2014年 第11代理事長)

「雑感……雀・百まで』

 

《NHK・TVの早慶戦中継 : 早稲田大学外野応援は高等学院吹奏楽部でーす》

 早稲田一家でもあったし、中3時の「TVに映ってかっこいいな」という憧れで、迷わず学院吹奏楽部に入部した。中2から「クラリネット」を始めていたので、ヘタレの自覚なく部活を始めることになった。

 なんでも僕は13期らしい。また、当部は単なる「ブラスバンド」ではなく「wind ensemble」であり、その襟章までありがたく手渡された。誰が楽器を教えるでない、授業開始30分前の朝練を指示された。

 入部1年生11名の内、楽器経験者5・6名で、全員勝手に朝練しろは随分な無理筋であった。 (楽器練習はただ走るのとは違う!)
 真面目な朝練者はたちまち「トランペット」が上手だった川島勉君(19期 A組)と二人きりになった。先輩連中も含め他に朝練者のいないへんてこな部活の始まりであった。

 それにしても、「早慶戦」での大学応援部の怖そうな「お兄ーさん」の指導を受け、3年間も外野応援(自分たちは応援の主役のつもり)をして、しかもパレードまで経験できた高揚感は今もって忘れられない。

 

ある合奏練習の日、外部から招いたらしい「指揮者」が来た

『指揮は (例の指揮者) 』

 その年、学院講堂にて「東京都吹奏楽コンクール高校の部予選」が開催されるので、先輩たちも「ホーム」ということで意気込んでいたようだ。
 そんなこんなで2年になって事件が起きた。例の「指揮者」が学院から楽器屋さんへ支払うハズの楽器代金をネコババして消えたのである。やがて、顚末はよく知らされないまま、事件は忘れら去られたが、それを穴埋めするように学院吹奏楽部に豊かで充実した機会が与えられた。3年生が奔走した結果、大蔵康義先生を「指揮者」に招へいしたのである。
 大蔵先生は東京芸大を卒業されて、ABC交響楽団を経た後、当時日本唯一のプロ吹奏楽団「東京吹奏楽団」首席トランペット奏者でした。また大変博学かつ多趣味で、先生の指導以来、無知からの自己流を改め、(専ら金管楽器)平明で理論的かつ正しい奏法・オーソドックスな音楽解釈など大人として学院生に接していただき、学院生もそれに応えるべく努力した次第です。(学院の中山先生・浅香先生も薫陶を受けられた方々です)
 3年の夏合宿は、榛名湖畔の「サマーミュージックキャンプ」に参加し、各楽器プロ奏者のレッスンを受けることができた。 部員一同楽器に関し、少しは覚醒したと思う。自身、先生のアドバイスにより(以後30年もお世話になる)東京芸大・N響の三島勝輔先生に師事する事になった。学院吹奏楽部指導40数年に及び、合宿には私も含め社会人になったOB連中が押しかけ、先生を囲み音楽談義のみならず カレー料理・建築・バイク・240Z・カメラ 等々ガヤガヤやったものである。

 日本大学芸術学部教授を務めながらも学院を指導され続け、「音響学」関連の複数の著書もある。先生の退任後、OBが結集して学院講堂にて先生自身の選曲・指揮による「記念コンサート」、また池袋のホテルにて盛大に謝恩会を催した。惜しまれつつ6・7年前80歳で召されました。

 

2022年6月、学院 ➡ ワセオケ3羽ガラス(トロンボーン平佐、川島、小生)の平佐君から携帯が鳴った。

『16歳から知り合い、この歳まで生き延びたし久しぶりに3人で飯でも食おう。』

 (因みに平佐素雄君(19期 H組)は「世界の小澤」と大変親しい間柄で、一流音楽家のマネジメントに関わっている。)
新宿の中華にて、音楽の話題や近況等であっという間の時間であった。平佐と言えば、かれこれ10年近く前かな?中学部・学院の吹奏楽部の生徒達に、アンサンブル・ウイーン・ベルリン他来日した超一流音楽家の演奏会を何度か、彼のお世話で「無料」で聴かせてあげられた。
 確か、一番若い子は少しクラリネットを教えた中学部2期生でした。その加藤君は学部に進学後も「早稲田吹奏楽団」に入団して音楽に親しみ、今年早稲田の学園生活10年を無事終え、社会に飛び出している。

 中学部の新設は、タイミング的にちょうど私の理事長時代に重なっていたため記憶に深く刻まれている。あの未曾有の東日本大震災による学院講堂の被災もあったが、中学部新設に伴う校舎リニューアル工事の進捗を見るのは嬉しかった。この事業への協力として、同窓会としては皆様の承認を頂き、営々と築き上げてきた基金より多額の拠出を行う事ができた。
 併行する個人・法人を対象とした寄付金募集に於いては、本部総長室とも連携することができ、ご協力賜った諸先輩方をはじめ同窓会の皆様に、改めてこの場をお借りして深い感謝の気持ちをお伝えいたしたいと思います。

 思い起こせばきりがないが、このように学院で素晴らしい友人・仲間・先生(勿論学院の先生方も含みます)に出会うことができ、音楽・楽器にハマリながらの長い社会生活を続けてきた。
 尚、現在は楽器のほかゴルフとも悪戦苦闘している。
                                                                                       

(参考)
 2010年(平成22年)- 中学部を新設開校。
 2014年(平成26年)- 第二期改築工事が終了し、講堂および体育施設棟が完成。