【OBの活躍】「安達慶太 ― 若き起業家が語る私の生き方『感謝することを忘れない』」インタビュアー 63期理事 河野秀維
インタビュアー 2012(平成24)年卒 63期理事 河野秀維 政治
安達慶太 ー 若き起業家が語る私の生き方「感謝することを忘れない」
学院同窓会OBの安達慶太さんが2021年1月19日に行われた第23回早稲田大学ビジネスプランコンテストで優勝した*1, *2。日本のプロサッカー市場は、試合観戦の他にチームを応援するための選択肢が乏しく、多くのクラブが経営難に陥っている。そこで、安達さんはスポーツをもっと身近なものとするべく、「プロスポーツ選手」「株式市場」「投げ銭」を掛け合わせた事業を手掛ける株式会社Masentic(マセンティック)を設立した*3。安達さんは同社の事業を通じて、ファンが選手とWin-Winの関係性を構築し、チームや地域へ貢献できるプラットフォームの構築を目指している。今回は、代表取締役を務める「新進気鋭の起業家」安達さんに自身の生き方についてインタビューした。
ーーー起業を決意したきっかけは何ですか。
何よりもまず、お世話になった人に恩返しをしたいという想いがきっかけです。英語も話せないまま、単身乗り込んだ留学先の米国。意思疎通もままならない中で、ホストファミリーや現地の友人はとても良くしてくれました。しかし、そこはギャングの抗争が絶えない非常に貧しい地域。恩返しのために僕に何ができるかを考えました。仮に寄付を通じて街の復興を目指すとしても、今のままではお金が足りない。その点、起業は“レバレッジ”が効きます。リスクを取れば、多くのリターンを見込める方法の一つです。だから、僕は多くの人に恩返しをするために起業の道を選びました。
ーーー起業家として心掛けていること、大切にしていることはありますか。
人生は一度きり。何事もやらないで後悔するよりは、やって後悔するほうがいい。だから、何よりも先ず行動すること。合理的に考えて5割以上の確率でリターンが見込めるなら、僕はベットします。行動を起こさないと何も始まらない。行動するうちに、共感し、理解し、呼応する人たちが現れます。こうして、僕はたくさんの仲間に恵まれてきました。そして、もっとも大切にしていることは、きちんと“感謝を伝えること”。何も持っていなくても「ありがとう」は言えます。感謝の気持ちは伝えられます。しかし、言葉にしなければ相手には伝わらない。だから、何かしてもらったら必ず「ありがとう」と伝えるようにしています。
ーーー今後の展望はどのようなものですか。
起業したMasentic(マセンティック)の事業に注力します。資本金は200万円。向こう3年で会社の時価総額を15億円にまで伸ばす、これが当面の目標です。もっともシビアにみれば、この3年は損益分岐点を見極める期間でもあります。事業が軌道に乗らなければ、撤退戦も視野に入ってきます。最悪の事態をも想定しながら、目標から逆算してあらゆる手段を尽くす。これが代表取締役としての僕に求められていることです。起業仲間、事業に価値を見出してくれた投資家の皆さん、応援してくれている家族、友人、その期待に応えられるよう全力を尽くしたいと思っています。
株式会社Masentic(マセンティック)公式webサイト https://masentic.com/
ーーー現役学院生に向けたメッセージをお願いします。
時代は、既に“Go GlobalからBorn Global”へと変わってきています。私たちは、生まれた時からグローバルな世界で戦っていくことを意識しなければなりません。ボーダレス化はインターネット上だけでなく、現実社会でも進んでいきます。そこで、“大きく盤面を見て戦う”ためにも、英語が足枷にならないようにする必要があります。すると、最低限の英語力の目安としてIELTS6.5、TOEFL iBT79-93は欲しい。これはスタートラインです。もちろん、母国語での思考力も磨いて欲しいと思います。
安達 慶太(あだち けいた)
早大学院2018年卒業。中学部出身。早稲田大学国際教養学部4年。学院時代はサッカー部に所属。高校2年次から公益財団法人AFSに所属し、3年夏に米国J.S. Morton East High Schoolへ1年間留学。大学では2年夏まで体育会ボクシング部に所属。2年夏から大学の交換留学プログラムを通じて英国University of Warwickへ1年間留学。現地ではサッカー部に所属。帰国後3年夏に起業を決意し、第23回早稲田大学ビジネスプランコンテストにて優勝。2021年3月に株式会社Masentic(マセンティック)を設立し、現在に至る。
<脚注>
*1 早稲田大学高等学院 安達君(高等学院OB、現早稲田大学国際教養学部(3年))の発表したプランが「第23回早稲田大学ビジネスコンテスト」で優勝しました
https://www.waseda.jp/school/shs/news/2021/01/26/4413/
*2 早稲田大学 産業経営研究所 第23回早稲田大学ビジネスプランコンテスト開催
https://www.waseda.jp/fcom/riba/education/contest