【学院トピック】 「2020年度 学術研究奨励金 受給者インタビュー」 報告 46期理事 三輪洋靖 28期理事 友松猛

1995(平成7)卒 46期理事 B組 三輪洋靖 機械
1977(昭和52)卒 28期理事 G組 友松猛 法

「2020年度 学術研究奨励金 受給者インタビュー」 報告

インタビューに応じてくれた中茎君(左)と草間君(右)

 これまででも報告しているように、(https://wasedash.jp/2435/)

同窓会学術研究奨励金は授業や部活動とは別に個人で研究活動をする学院生を支援する同窓会の活動です。2020年度は、同窓会から90万円を提供し、中学部7名、高等学院14名の合計21名に奨励金が支給されました。

 そのテーマは化学、生物、ロボット、歴史、経済など幅広い分野にわたっています。今回はその中から高等学院3年生の2名にインタビューをしてきました。

草間君「シェアリングエコノミーにおけるオープンソースソフトウェア化への課題と解決法の検討 -要件定義・設計を通じた開発計画の検討-」

 草間君は2年生のときにエストニアへ3週間の海外インターンに行き、現地企業でソフトウェアの開発技術を学ぶと同時に、さまざまなシェアリングサービス(例えば、電動キックボードやデリバリーのシェアリングなど)が普及し、生活に溶け込んでいることを肌で感じたとのことです。その経験をきっかけに、シェアリングエコノミーに関心を持ったそうですが、シェアリングサービスを立ち上げるには、ソフトウェア開発に多額の費用と人材がかかり、日本での普及を阻んでいました。そこで、ソフトウェア開発の費用を下げてシェアリングサービスを起こしやすくするため、この研究ではオープンソフトウェアサービスとしてシステムの基盤ソフトウェアの開発することについて検討を行いました。

 研究では、夏休みを利用して実際に基盤ソフトウェアの開発を行い、その開発体験を通して、問題点や課題点をまとめています。そして、会員登録のようにサービスごとに共通している部分については、OSS化によって開発コストの削減が期待できるものの、現状ではサービスごとに全ての開発が必要となっていることが分かったそうです。そして、志のある人々がシェアリングサービスで起業しようと思ったときに、OSSを活用することでソフトウェア開発が費用や知識、時間における障壁とならないようにしたいという将来への熱意とともに、八百幸大教諭をはじめとした多くの人に支えられたことで本研究を進める事ができた感謝を語ってくれました。

中茎君 「対馬における異文化理解と多文化共生に関する研究」

 以前から学院はフィールドワークという現地視察などを通して韓国との交流に努めてきました。本研究は、その流れの中で、古くから日本が韓国との各種交流を行う上で重要な役割を果たしてきた対馬という「国境の島」を取り上げ、韓国高麗大学、開成高校の学生とオンライン会議ツールを活用して、その「観光」「歴史」「境界」の3つの観点で考えをまとめ、交換・討議したものです。学院のメンバーは中茎君を中心に、前述の「シェアリングエコノミーにおけるOSSの可能性」の報告者である草間君を含めた全6名が参加者となりました。

 そもそも中茎君がこのテーマを選定したのは、日韓関係の大きな揺らぎに(なんと!)小学3年生の時に強く衝撃を受け、またその後中茎君自身が韓国を訪れた際は韓国の人たちの温かい対応を経験し、その温度差が何であるのかを知りたいと考えたからだそうです。研究を通じて、「対馬がその長い歴史の中で、日本と韓国相互の文化理解と共生に大きな役割を果たしてきた事実をより多くの人々が知ることが、未来志向の関係改善に繋がる」ということを学んだと振り返ってくれました。

 今回新型コロナウィルスのため、韓国を訪れ韓国の人たちと膝つきあわせた研究が叶わなかったことは非常に残念ですが、それでもオンライン会議を通して、韓国・日本両参加者の理解の深化と歩み寄りを経験できたとのことで、大変実りある研究であったと感じます。

 最後に、学院生活の思い出を聞いたところ、草間君は「エストニアでのインターンを通して情報技術として発展していくところを体験できたこと」、中茎君は「学院では自分で興味を持って自分で学んで動くことが要求された3年間で、自分から動いてチャンスを手に入れる重要性を身をもって経験したこと」と答えてくれました。

 インタビューを通して、2人とも3年間の学院生活やこの研究で、海外の学生や生活と触れ合い、日常生活では味わえない経験をされたことを、活き活きと語っていて、将来に向かって自信と気力に満ちあふれている様子を強く感じました。この先、大学、社会人と大きく活躍されることを期待したいと思います。

 最後に、今回のインタビューにご協力頂いた草間君、中茎君、教務主任の伊藤祐輔先生、吉原正同窓会理事長に感謝を申し上げます。